女将のブログ

「ブラタモリ」13巻に新門荘が載っていた!

根強いファンが多いNHKの「ブラタモリ

いつぞや「祇園」編が放映されていたそうですが、
私は見逃していました… そして、先日ふらりと本屋へ行った際にありました!!
「ブラタモリ」の最新刊が!!

 

目次の通り「京都・清水寺」「京都・祇園」「黒部ダム」「立山」の放映分が収録されています。

 

 

これはスタッフの分も購入せねば! と思いましたが、
ケチなのでカラーコピーして勉強会に使用することにしました。

 

高校の頃は「地理」の授業がどうも面白くなくて退屈に思っていましたが、
この番組のように『地形から歴史を紐解く』というアプローチはとても理論的で理解しやすいです。

 

特に当館から徒歩1分の距離の新橋・辰巳神社付近。

その小さな橋を四条通沿いへ抜けると、
雑居ビルがひしめき合っていますが、道が真っ直ぐではないんです。
ほんとにガッタガタ。

今まで疑問に感じたことも無かったけど、
「ブラタモリ」を読むと、なるほど!その謎も解けて、
この理由こそが祇園で花街が発展したことにも繋がるのです。

そして、ぺらぺらとページをめくると
「京都編」の最終ページになんと!「祇をん新門荘」の文字を発見!

「芸妓さん舞妓さんに出会いたいなら」という枠に掲載されていました!
いつのまに!! これには思わず二度見!びっくりしました(笑)

京都へ来られる方は是非 購読なさってみてください!
そして、58ページもご確認ください(笑)

 

このシーズンは修学旅行生と紅葉を楽しみに一般の観光客が訪れる京都ですが、
「ブラタモリ 13巻」を読んでから、定番の「清水寺」へ行かれると
人が多くてしんどいわ~… だけの思い出ではなくなるはずです(^^)/

やはり知識や薀蓄を知ってから、その先を訪ねると
旅の楽しさが増して、より思い出深くなりますね♪

 

 

 

 

 

食育プログラム

先週は修学旅行で京都に来られている女子高生の皆さんが
昼食をとりにお越しになりました。

同時に、本年度4回目、
当館オリジナルの修学旅行生向け「食育プログラム」も実施されました。

3種類の出汁の飲み比べを体験してもらったり、
京野菜の披露など和食の文化について
幅広くお話させてもらうプログラムです。

お箸のマナーはどこでもされる話でしょうが、
箸とお椀のどちらを先に持つか知ってはりますか~??

 

2013年にユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」は
ただ食べるだけではなく、それなりの知識がある方が美味しく感じる幅が広がります。

今はレンジでチンすれば、とりあえずお腹が満たされる時代。
そんな時代こそ、「食」について真剣に知る機会は必要だと思っています。

それをレクチャーする時間を学校側からご指名いただき、頂戴できることは
提供する側の私たちにとっても、若者育成の為に一役買っていることにもなり有難い事だと思っています。

調理人が披露する職人技「かつら剥き」は
皆さん、大注目!
和紙のような薄さで、途切れることなく剥かれていく様子を見ることは
初めてで「おぉ~!」とあちこちから感嘆の声が聞かれました。

「和食」はこのような職人技の連続で出来上がるのです。
そんな一コマをご覧いただきました。

ほんとにお行儀が良く、清々しい生徒さん達。
高校生らしい可愛い笑顔がたくさん見られて
仕事冥利に尽きるなぁと思いました。

写真撮影にご協力いただいたお礼として
市内観光なさるグループ別に、私たちと撮った記念写真は
まもなく学校様に届けられます。

またいつの日か京都にお越しいただくことを願っています☆

ついていけないIT業界

連休明け早々、大阪の梅田でセミナーがありました。
3人がご登壇されましたが、どの人も目玉級。
この日の受講をとても楽しみにしていました。

↓ 最後尾でひっそりと拝聴しています。

日本旅館協会・関西支部が主催するセミナーなので、
同業者ばかりかと思いきやIT専門業者の方もチラホラ。

医療技術のように日進月歩で進むIT業界。

第一部では(株)コレリィアンドアトラクトの松本慶大氏が
旅館業界に特化せずに題目の通り「マーケティングトレンド」について話をされていました。

最近よく見聞きする「トリバコ」「トラベルコ」のようなメタサーチの話、
SEO対策はもはや不要と言われながらもコンテンツに特化したSEOの成功例、
インスタを上手に取り込んだWEBサイト製作、
ハッシュレコ」「IFTTT(イフト)」「similarweb」などの巧みな活用法…

自分の旅館に落とし込めることがたくさんあり、
私自身のアップデートもかなりされたように思います(^^;)

面白かったのはまだ40代前半の松本氏が、
仕事の最中にスタッフに「ググって」と言うと
「ググるってなんですか?」と真顔で聞かれたそうです。

最近は「ググる」ではなく「タグる(タグ付するの意より)」と言うそうで、
ググるでさえも古い言葉なのかい!!と、思わず私も突っ込んでしまいそうになったほど
IT業界のスピードにはほんとびっくりしたエピソードを聞かせて頂きました。

また、二部の(株)Kaizen platformの須藤憲司氏は
ご自身が携わっておられる会社の規模が大きいこともあって、
そのレベル高き拝聴する話を
私自身に適合するように落とし込むのが大変でした(笑)

起業するに至った経緯や、将来的な働く環境など多岐にわたってお話しされていましたが、
私流の雑な解釈ですが、たった一言でまとめると「エエと思ったら、はよせーよ」です。

たった一回の改善で成功を導くのではなく、
やはりどんなこともトライ&エラーの繰り返しなんですよね。
そう、ええな!こうしたらどうかな?とふと思いついた時にすぐに行動がとれているのか。
すぐにアクションを起せるような粒度にしておくことも大切ですよね。
どのような業態も、経営とは判断とそのスピードに拠るところが大半を占めるのだとつくづく痛感します。

 

今日はこのあと30分後に全体会議があります。
今、部署の垣根を越えて、5つのお題目のチームに分かれて
それぞれの内容で進めているのですが進捗状況を聞くのが楽しみです。
一方で、トップダウンではなくボトルネックで進めている会議ですが
私はどこまで介入していいもんやら…と感じることもあります。

物事を進めるって難しいです。だから仕事は面白いんですが。

今日はITセミナーの話から随分脱線してしまいました。

社内サービスコンテスト

今年3回目の社内サービスコンテスト。

基本的な接客スタイルの確認をするために
お客様役とサービス役に分かれて互いの接客を見合います。

今回は料理の試食も兼ねました。
ご提供していく料理を自分自身が口にすることで、
「これはこういう風に説明した方が親切ですよね」という気付きもあり
やはり試食会とサービスコンテストは同時にしていくべきか…と痛感しました。

現在、お客様にお渡ししているお品書きは
調理場から細かな食材まで書かれた献立を
改めてとてもシンプルなものに書き換えています。

見たら分かる!という食材などは書かないように。

出来るだけお客様の食事の煩わしさとならないように、
という思いの一方で、こちらがご説明する食材や調理法などで
お客様同士の会話が弾まれるように…

世間ではどの飲食店でも、料理の説明もいつの頃からか懇懇とするような風潮になってきました。
私個人的には、その場にいる人との会話を楽しみたい派なので、
料理の説明をするために会話が途切れるまで立ち止まられていたり、
くどくどと話されるとウンザリします。

とはいえ、そのスタッフさんの気持ちもわかるので
空気を読んで話しやすくする雰囲気にも持っていける… 私も腐ってもプロ。

余計な料理の説明は要らないけれど、
こちらから質問した時に的確に回答をもらえると同業として頭が下がります。

当館の接客スタイルも最終的に目指すべきはそこですが、
今の若い子たちにはまずは基本の知識を叩き込んでもらわないと
そんな応用さえ効きません。

さておき、今年に入り毎度同じ10-20代のメンバー5名に実技をしてもらってきましたが、
彼ら彼女らがそれぞれに目標を持って
もっと高みのある接客をしようとする姿勢が見えることは喜ばしいことです。

私もこの社内研修がマンネリにならないように、
また私が居なくても、各自で訓練ができるシステムを
構築していかねばならないと考えています。

 

最高!デービッド アトキンソン氏!

事務所にこもって仕事をしていたら、同業の若女将さんから
「今日のシンポジウム行きますか?」とLINEが。

忘れてた~! 慌ててジャケット取りに行って会場へ向かいました。

シンポジウムの内容は
「去年の秋に京都は観光庁から国内初のDMO法人の認可をもらったで!
みんなでガンバろな~!えいえいおー!」ということです…

観光業界の人間なら馴染みのある「DMO」。
そもそも何やねん、「DMO」

私なりのふざけた解説でいくと
「DMO= いっっろんな人巻き込んで、しっかりお金を落としてもらえる観光で地域を盛り立てよー!」

まぁね、役所の人間がトンチンカンなこと言ってやって、
大事な税金遣って「はぁ?!何してますんや!」ということもダメ。
直接的に観光に関わる地元の人間ばっかり頑張って空回りしてもダメ。
補助金ばっかり当てにして事業を進めることもダメ。
「観光観光いうても、今の京都は観光公害や!」と地元民が不満を抱くのもヨロシクない。

「いっっろんな人」というのは学生も、おじいもおばあも、専業主婦もみーんな!
縦で動いていたものを、手と手を取り合い動き出す。

目指す目標や方向性は官民一体となった方が、いろんな意味で効率的。
「DMO」立ち上げて、量より質を再確認し、永続的に京都が愛されるように進むのは大事ですよね。

理想で終わらないようにしないとね。

 

それでも、私はこのDMOをさておき、
今回のシンポジウムの目玉である「デービット・アトキンソン氏」のご講演が楽しみにしていました。

(…声かかる直前までシンポジウム自体忘れてたくせに ^^;)

今から3年前に出版された「新・観光立国論」
すぐに買って読みましたよー!

読みながら何度頷いたことか。何度ハッとさせられたことか。

そして、今年のちょうど半年ほど前に出版された本。

「無能な経営者こそ問題だ」
…グサグサ突き刺さりますね~

この二冊だけで、別のブログ記事が書き起こせるので、
今回はそこには触れません。

この日のシンポジウムもキレッキレでした。

・交通機関・旅行業者だけに牛耳られているDMOはうまくいかない
・「発信するだけ」「コンサルするだけ」のDMOはうまくいかない
・ 観光客がどこへ行くか調べる価値は発展性がないので意味がない
・「歴史文化観光」に興味がある人が京都に来るのは当たり前。だって「歴史文化」で発信してるんだから。
・京都の問題点を見つけて解決する、それが求められているDMO
・必要な設備投資、新たな観光資源の発掘も必要
・宿泊施設で稼働率が高すぎるのは、単価が低すぎるから。

もうA4用紙ぎっしりにメモしましたが、ふと思い出しただけでも↑これだけあります。
もちろん前後の文脈が無いと曲解されるフレーズもあるかもしれませんが
私はとても良い刺激を受けました。

自社に持ち帰って、すぐにどうこう出来る内容ではありませんが
閉塞的な自分の考え方に猛省したり、
一部私の考えが間違っていないと後押ししてもらえた気分にもなりました。

2018年のビアも終了!20年前のチラシ。

おかげさまで、開店20周年を迎えた当館屋上で開催している
「舞妓とビアガーデンの夕べ」も最終日を迎えました。

私が入社したのは平成14年。ビアガーデンは平成11年から始まったので、
ちょうど4年目から携わるようになりました。

開店3年目まではお客様ゼロの時もあったようで、
女将がご宿泊のお客様の部屋をノックして、
案内してまわったとも聞いていました。

↓ 懐かしいオープン当初、20年前(平成11年)のチラシをご披露します。↓

 

 

↓ 平成13年度 ↓

 

当時の屋号は「祇をん新門荘」ではなく「ホテル新門荘」でした。
チラシもデザイン会社に丸々委託していたようです。

 

その後、毎年のようにメニューを変え、価格帯を変え、
どうしたらお客様に来てもらえ、喜んでもらえるのか
ほんとに試行錯誤していました。

↓ 平成18年 当時宮川町ナンバー1の売れっ子
舞妓「ふく光(てる)ちゃん」 現在も芸妓として活躍されています♪ ↓

平成18年・19年は5種類のコース料理にしました。

 

私も一人目の出産前年まで営業日数45~55日間、
毎日ビアガーデンで接客していました。
あれだけ学生時代はダイエットに勤しんでいたのに
おかげで、毎年1-2キロずつ痩せていきました…
なんせ毎日毎日、猛暑の中 階段を1階から屋上まで階段を何往復もしてましたしね。

 

なかなか体力勝負の仕事でしたが、
この夏しか会えないお客様との出会いがたくさんあり、
わざわざ東京や各地方から「自分の夏のイベントに決めているんだヨ」と
毎年リピートしてくださるお客様もたくさんいらっしゃいました。

当時はまだ満席になることは ほとんどなく、
当日フラリとご近所の方がお一人でお見えになることも多々ありました。

先日、そんなお一人の女性がご来店くださり
「ついつい昔、女将さんが手作りで出していた一品料理と今の料理を比べてします」と仰っていたとのこと。
スタッフは「え!? 女将の手作り料理が存在していたの?」と内心ビックリしていたようです。
(確かに平成16年・17年は看板メニューで出していました)
あぁ、大阪のO様とよく花街や舞妓の事をお喋りしたなぁ…と懐かしんでいました。

 

その数日後、東京のT様から「20周年お祝い」とお花が届きました。
この方も毎年必ずお越しくださり、私が出産すると伝えると
安産のお守りをくださいました。夏しかお会いしないのに
わざわざ私の為に頂いたお心遣いに、驚きと共に心から喜んだことが昨日のようです。

 

平成20年には舞台の向きを変え、業務用鉄板を購入し、
椅子を新調、4階の共同トイレもようやく改修工事をしました。

平成21年からはオリジナルの団扇を作成して、ご来店の皆様に進呈していました。

↓ 平成21年 「去年、芸妓を辞められた菊乃ちゃん」 ↓

その後も舞台の高さを出したり、照明や音響を変えたりと
毎年少しずつ、少しずつハード面も改修を重ねてきました。

まだまだ不行き届きは多々ありますが、
手軽に本物の舞妓に会えると、口コミで広がっていった20年間。

ひとえにお客様に感謝です。
来年は21年目に突入。同時にここ「祇をん新門荘」が創業70年を迎えます。
お褒めの言葉、お叱りの言葉をしっかり受け止め、確実に前進していきます。

今年のビアガーデンにお越しいただいたお客様、
誠に有難うございました。

台風で!大将軍神社の拝殿がっ!!

樹齢800年の銀杏の木がある「大将軍神社」
ここは平安京を造った桓武天皇が、
大内裏鎮護の為に都の四方四隅に作られた神社。
東から来る邪霊を防ぐために特に重要視されていたそうです。

新門荘から徒歩2分の距離です。
実は自宅までの抜け道で、いつも私はこの神社の前を通っているのですが
先日木曜に関西地方へ上陸した台風のあと、こんなことに!!

まじで~!! えらいこっちゃ!!!

境内のご神木が根元から倒れてしまい、拝殿に直撃。
自然の猛威に、拝殿が見るも無残なことになっていました…

「いやぁ~ 昨日の夜は暴風がすごかったわ~」程度にしか思っていなかったので、
いつも通りに この前を通った時は思わず二度見(@@)

けが人が居なくて不幸中の幸いです。

あと少し!「舞妓とビアガーデンの夕べ」

当館の屋上で開催している「舞妓とビアガーデンの夕べ」も本年度の終わりを迎えます。
今年は20周年を迎えましたので、記念にオリジナルの扇子を作り
粗品としてご進呈していました。

どのお客様にも喜んで頂いている様子で、とても嬉しい♪

あえて「新門荘」や「gion shinmonso」など屋号は入れませんでした。
当館の舞妓柄のモチーフが素敵でしょ。

今年は暑すぎたせいか、予想に反して空席が目立つ年でした。

一方で、3500円のコース料理ではなく
5000円のコース料理のご注文をたくさんいただいた年でした。

9月1日(土)が最終日ですが、十分な空席があるのは
8月27(月)・28(火)・30(木)の3日間だけです。

随分と風も吹くようになり、過ごしやすくなりました。
ご予約お待ちしております  TEL 075-561-8011 (9:00~21:00)

※ 最近 店出し(舞妓さんデビュー)した、宮川町の君咲ちゃん

真剣に考える。一部のスタッフだけではなく、みんなで。

先日の会議。

正社員もパートもどこの部署も問わず「興味のある人だけが来たらよい」と発信したら
ほぼ全員が参加することになりました。

それほど今回の会議の議題に(同時に大きな不安もあるのでしょうが)
興味を持っていてくれていて、関心の高さがうかがえました。

何を話そうか、どういう話の順序で話せばいいのか頭を整理するために
小一時間前に入室すると ↓ 写真のように座席がきちんと用意されていました。


わわわ! 
学校みたいやな!あまりに私が偉そうに見えてしまう…
ということで、座席をごそごそ移動させました。


よし! 
これでみんなとの物理的な距離も縮まった。
少し全体的な話をしてから、24人のメンバーを5つのグループに分かれてもらい40分間のグループ討議。

いろんなリーダーシップの発揮の仕方があり、いろんな組織運営法がありますが
今、新門荘にとって必要なことはスタッフ一人一人が物事を考えて動いていくこと。

私自身に強いカリスマ性があったり、巧みな話術があったり、海千山千の経験値があれば
あのジャンヌダルクのように「ついて来い!」と言わんばかりに、
自ら旗を振って、皆を叱咤激励しながら引っ張っていけるのでしょうが、
今の私がそれをしたところで空振りするだけでしょう。

この数か月寝る間も惜しんで、過去に一読した本も含め
教科書的なビジネス書を読み漁り 考えに考え抜きました。

行きついた答えが、組織のトップがメラメラと燃え続ける人間じゃなくてもええんちゃうか。
自発的に動く土俵作りをすればええんちゃうか。
いろいろ分析して、多角的に物事を見て、物事を急変させずに、
緩急的でありながら仕組みを変えて前進させる。それは私しかできひん仕事ちゃうか。

今までとことん考えたり、工夫した事のない人に
「頭つかえ」といったところで回転しない。
そこに潤滑油をポタポタと注入するのは私の仕事ちゃうやろか。

…お客様に選んでいただける宿であるためにはどうすればいいのか。

一昔前までは、「ホテル」か「旅館」の二択でしたが
今や一棟貸しや民泊スタイル、高級夜行バスに観光列車…
泊まる場所だけではなく、寝ている間に移動するという選択肢さえある時代。

立地だけで選ばれる新門荘ではなく、
もっともっと料理や、接客でこれまで以上に心からご満足頂ける宿にしていこう!
地道な活動が花を咲かせる。スタッフ皆んなで意気込みあらたに一歩踏み出しました。

 

20代の生意気盛り

先日、お付き合いのある業者の社長がお亡くなりになりました。
60代に入られたばかりの若さで、ましてやつい先日お会いしたばかりの記憶があったので
訃報を聞いたときはとても信じることができませんでした。

私が大学卒業後、すぐに新門荘に入社した時の事です。
会社経営が大変苦しい時期でした。

とにかく経費の削減!ということで箸一膳の何十銭という単位から金額を見直していました。
どの商品も2-5社の相見積を取り続け、相手業者の
「先代からのお付き合いやのに!」などという小言にもめげず
どんどん他社に変更していました。

そんな生意気盛りで勘違いも甚だしい20代の私に唯一、頭を下げてこられたのが冒頭の社長さんでした。
「若女将の仰る通りです。‵長い付き合い’に胡坐かいて価格の見なおしも一度もせず
ずっとお座なりにしてきました。もう一度チャンス下さい」という言葉でした。

今まで、こんな小娘に丁寧に言葉をかけてくれる方も居なかっただけに、本当に驚きました。

ご自身も先代から会社を引き継いだ時に、
幹部クラスの従業員が3名だったか、3名を残して全員だったか記憶はあいまいですが、
突然辞められたりと若いころは大変ご苦労されたようです。

そんな貴重な話も聞かせて頂き「大変だろうけどしっかり頑張ってや」と
ありがちなことは仰らなかったけど、精神的に励ましてもらいました。

さらに後日、その社長は私宛に手紙まで送ってくださいました。
「先日は先輩面して偉そうなことを言いました云々 応援している」という内容でした。

当時、経験がないゆえに本の知識だけで頭デッカチになっていた私は
今までの強引なやり方を反省し、どのような場面や相手でも言葉を選ぶことを学び、
根本的に自分の姿勢を振り返るきっかけとなりました。

どれだけ山ほどの書籍を読み漁っても、たった一人の人間によって
心の底から揺さぶられたような衝撃を受けていました。

自分よりうんと若い人にも、きちんと頭を下げられるような人になりたい。
これみよがしな説教ではなく、自然体で物事の道筋を照らしてあげられる人になりたい。
頑張っている人間を精神的に支えられる存在でありたい。

この社長さんを通して、様々な目指すべきリーダー像が見えてきました。

あの時の衝撃と感動から、早15年経ったでしょうか。

告別式ではその人望の厚さゆえに、多くの方がすすり泣き偲んでしました。
ご霊前を前にしっかり手を合わせてきたけれども、
心にポッカリ穴が開いたような一抹の寂しさが残っています。

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